まいご

ふらふらと彷徨ってどんどん薄れて行く意識の中で必死に手をのばした。 のばす先に何があるわけでもなく、ただなんとなく、眩しい気がした。 眩しいものは例えば光だ。 光といえばたとえば太陽だ、太陽といえば、という言わば一種のこじつけでもあった。 希望でもあった、願望だった。 のばした先に在って欲しい、そこにいて欲しい。 掴むものが在って欲しい、ただそれだけで彷徨い続けた。 ふわふわしていた感覚がだんだんと消えて行き、薄れていた意識が違うものに変わる。 ぼんやりとした心地で目を開けると、真っ白な天井。 ロボットみたいなかたい動きで首を動かして横を見る。 今にも椅子からずり落ちそうな、眠りこける銀色のまぶしさ。 ふわふわしている頭が、さっきの感覚とは違ってじんわり心にあたたかい。 ただ一つの言葉が今も、こんなにも胸を締め付けるのだと。 伝えることができるだろうか、伝えてどうなるだろうか。 どうにもならないんだろうな、ぼんやりそんなことを考えて、頭のなかでぐるぐる巡らせて、ゆっくりまぶたを閉じた。